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キッチンよりお知らせ〜ケープルヴィル通信spring 2025

千駄木団子坂を通るたびに思うのが、
吉本ばななさんのエピソード。
作家・吉本隆明さんが夕方になると
幼いばななさんを連れて買い物に出かけ、
肉のおおたにでコロッケを買っていたという話。

同じ千駄木に住まい千駄木でシェフ業をしているわたし。
仕入れの途中で肉のおおたにに立ち寄り、
揚げたてのコロッケを手にすると、
ふと、ばななさんの幼少期の風景に思いを馳せることができる。

時代が変わっても、変わらない味や場所があることの尊さを感じる瞬間です。

料理も同じ。新しい技法や食材が次々と登場するなかで、
普遍的に愛される味があり、私の料理も、
そんなふうに誰かの記憶に残る一皿になれたらいいなと思う。
千駄木の歴史とともに、
味の記憶を未来へつなぐ仕事を続けていきたいと思います。

(じゅんこ)

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