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フォトグラファー・若山和子のカンヌ映画祭レポ ⑤ 〜受賞結果


第72回目のカンヌ映画祭が終わりました。

ポン・ジュノ監督作品が韓国映画として初のパルムドールに輝きました。

カンヌ映画祭で韓国初のパルムドールを受賞して喜ぶポン・ジュノ監督
嬉しすぎたのか、フォトコール会場に一緒にいた俳優ソン・ガンホの元にひざまづくといパフォーマンスまでしていたポン・ジュノ監督。


正式上映は、大騒ぎされていたタランティーノ作品のすぐ後の回だったのですが、
会場を包む観衆のフィーバーにも負けないくらい評判が良く、
どのジャーナリストに聞いても、
あれはよかった!という作品としてみんなの口々に語られている作品が、
やっぱり予想通りにパルムドールを手にしたという結果になりました。

私たちカメラマンは、プレスと言っても映画を見られる立場でもなく、上映時にひたすら撮影をしてひたすら写真を配信するのですが、
唯一映画を見られるのが最終日の数時間で、私も毎年映画祭の終盤に成るとその時を心待ちにしていて(笑)、
今回選んだのがこの『パラサイト』。

ポン・ジュノ監督作品はもともと好きなのですが、
今回のは本当に良かった!!
なぜみんなが口々に、これをオススメしてくれたのか、納得でした。
それぞれの登場人物たちから浮き彫りにされる社会的背景が、現代社会の歪みとしておもしろく描かれていたし、
リズミカルで重すぎず、何よりも面白かったのです。サスペンスとして!
カメラワークもクールでカッコ良かった。
ちょっとどこか、去年の是枝監督の『万引き家族』を思わせる節もあります。

審査員の意見も満場一致だったとのこと、なるほど!という感想です。

ポン・ジュノ監督は、『TOKYO』という3人の監督によるオムニバス作品の撮影の時に
ご一緒させていただいたことがあるのですが、
鬼才なのにほのぼのとした雰囲気があって、
それは今もあまり変わっていないように感じます。

受賞の瞬間は、フォトコール会場の、わざわざフォトグラファー用に、授賞式の時だけ設置されるテレビモニターで
見ていたのですが、思わず拍手してしまいました!
そしたらそこにいたみんなから
「あれ?彼女ってなに人だっけ・・・?」という目で見られましたが。
去年も是枝さん受賞で思わず一人で大拍手しましたから。

カンヌ映画祭の最優秀男優賞を受賞のアントニオ・バンデラス。フォトコール会場にて。

他には、カメラマンにとっての有名どころではアントニオ・バンデラスが最優秀男優賞を受賞、
その他の賞は以下のような結果となりました。


パルムドール:『パラサイト/ Parasite 』(ポン・ジュノ)
グランプリ:『アトランティック / Atlantiques 』(マティ・ディオップ)
監督賞:『ル・ジュンヌ・アメッド(原題)/ Le jeune Hamed 』(ジャンピエール&リュック・ダルデンンヌ)
審査員賞:『レ・ミゼラブル(原題)/ Les Misérables 』(ラジ・リ)/ 『バクラウ(原題)』(メンドンサ・フィルホ&ジュリアノ・ドルネル)
最優秀男優賞:アントニオ・バンデラス『ペイン・アンド・グローリー(英題)/ Pain and Glory 』
最優秀女優賞:エミリー・ビーチャム『リトル・ジョー(原題)/ Little Joe』
脚本賞:セリーヌ・シアマ『ポートレ・ド・ラ・ジュンヌ・フィーユ・アン・フー/ Portrait de la jeune fille en feu』
特別賞:『イット・マスト・ビー・ヘブン(英題)/ It must be heaven』エリア・スレイマン

カンヌ映画祭、2年連続で日本、韓国とアジア勢が登りつめました。
また来年まで、まずは受賞作品が一本でも多く日本で配給されると良いですね。

カンヌの夕日
最終日、フォトコール会場からの眺め。


by 若

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