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ベネチア映画祭レポート②

ベネチア映画際、続いております。
今年はハリウッドからの大物スターが来れない分、静かな感動が広がっているような印象。


濱口竜介監督の『悪は存在しない』のワールドプレミア。
前日に試写にはいった外国人記者たちから「最後の20分間がものすごいミステリアスだった」という感想を聞いていたので、
一体どんな意味だろうかと思いながら、上映会場に入りました。

上映前には、濱口監督の登場とともに満席の会場から大きな拍手が沸き起こり、世界からの期待をすでに痛いほど感じました。
そして上映後にはさらに大きな拍手でのスタンディング・オベーションが7分以上も続き、
そんなに理解するのは簡単ではないかもしれない「ミステリアス」な結末を迎えるこの作品が世界に受け入れられている様子を目の当たりにしながら、
必死に撮影しました。



その世界観が、たしかに類い稀な監督であることは間違いありません。
素晴らしい場面に一緒にいさせていただけたことに感謝です。


さて、日本からは塚本晋也監督の『ほかげ』がオリゾンティセクションで上映され、
そちらにも行かせていただきました。
森山未來さんも現地入りしていました。こちらの作品はロー・バジェットな作品とのことですが、
だからこそいかにこの監督が人物を描くことに力強く長けているか、
を思い知らされるようなすごい迫力の力作でした。

そして、もう一つ特筆すべきは、息子である空音央による全編モノクロの坂本龍一のドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto  OPUS 』。


ほかには、ウッディー・アレンの『Coup de Chance(原題)』。
ひさしぶりに公の場所に現れたウッディーを取り囲むように鈴なりのフォトグラファーたちが並び、いつもに増して印象的で感動的な赤絨毯となりました。



あと注目度が高かったのはもちろんソフィア・コッポラの『プリシラ (原題)』 。

エルヴィス・プレスリーの元妻の半生を描いた映画ですが、女優のケイリー・スピニーが美しかった!この作品は、
インディペンデント系ということで、全米ストライキ中の俳優組合から免除されての映画祭の参加となり、
わたしたちフォトグラファーはほっとして仕事ができました〜!

今年は例年に比べればかなり地味だとはいえ、
映画祭ならではのたくさんの貴重な瞬間があちらこちらで起こっています。

(若)

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