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ベネチア映画祭レポート③〜坂本龍一Ryuichi Sakamoto :CODA


『Ryuichi Sakamoto : CODA』フォトコールの坂本龍一

9月3日にベネチア映画祭で上映されたこの作品は、”坂本龍一の音楽と思索の旅を捉えたドキュメンタリー”という通り、坂本さんの魅力があちらこちらに散りばめられていました。


左は監督のスティーブン・ノムラ・シブル氏。

冒頭で『戦場のメリークリスマス』が流れると、正式上映の会場からは大きな拍手が沸き起こりました。

70年代のYMOを代表する音楽のアーカイブや『ラストエンペラー』の映画音楽を録音した時の当時の貴重な映像が流れ、作曲家、演奏家、音楽プロデューサーとして幅広い分野で活躍する坂本さんの全貌をたどることができる作品となっていました。

今最近の音楽表現に繋がる社会問題や環境問題への意識も坂本さん自身の言葉で語られ、坂本龍一という人物の素晴らしさを今一度じわりと確認させられる内容でした。

上映後には、長い長い、スタンディングオベーションが。

その全篇を通じて流れる音楽があまりに素晴らしいので、余計に感動がエコーして大きく鳴り響いたのかもしません。



『ラストエンペラー』などは特に、イタリア人監督、ベルナルド・ベルトルッチの作品だし、2013年にベネチア映画祭の審査員を務めたということもあって、こちらではサカモトさん、ものすごい人気です。



オフィシャルフォトグラファーということで、会見前後やインタビューなどでご一緒させていただいたりしたのですが、周りにいるプレスの人や映画祭参加者たちがほんの一瞬でもサカモトさんを見つけ、感動した眼差しでサインを求めているのが印象的でした。

坂本さんは本当にフォトジェニック。
ポートレート撮影をさせていただいたのですが(ここでは残念ながらご紹介できませんが・・・)、何とも言えないカリスマ的なオーラがあって、その視線や手の動き、手の置き方、ちょっとしたポーズがどれも感動的に美しかったです。

窓から入る、夕方のベネチアの光がまた素晴らしくて。

そして、何よりも印象的だったのは、坂本さんの言葉。

ご自分で語る通り「アーティスト」であること、「アーティスト」であるがゆえに求めるべきこと、見つめること。
作品は、予定通りに創り出すではなくむしろ感覚で作品を綴るべきだという氏の信念。

同じアーティスト(と言っても私は写真家でしかありませんが)として、非常に非常に感銘を受けました。

そして最後に・・・

70年代YMOの頃からずっとファンだったことを伝えました。
そうしたら、目を見てしっかりと握手をしてくれたので、すでに今回の出会いで感動していたのに、もっともっと感動がじわりと広がって、
生きててよかった!とまで思ったほどでした。



by 若

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